糖尿病
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ストレプトゾシン糖尿病ラットの神経cAMP含量低下機序の解明
前田 憲吾安田 斎寺田 雅彦川端 徹川合 寛道滝川 智子上古 真理吉川 隆一繁田 幸男
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1994 年 37 巻 6 号 p. 395-401

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抄録

近年, 糖尿病ラット坐骨神経のcAMP含量の低下および神経Na/K-ATPase活性調節におけるcAMPの役割が報告されている。しかし糖尿病末梢神経のcAMP低下機序について充分な検討は行われていない.そこでこれを解明するために, ラットを用いて免疫組織学的, 生化学的検討を行った.cAMPに対する免疫組織染色では軸索のみが増強された.軸索の消失した神経切断遠位部のcAMP含量は非切断側に比して有意に減少したが, 糖尿病, 正常ラット間で有意な変化は認められなかった.正常ラットに比べて, 糖尿病ラットの神経adenylate cyclaseとphosphodiesterase活性は差を認めなかったが, isoproterenol刺激による神経cAMP蓄積量は有意に減少していた.これらの結果から, 糖尿病坐骨神経では軸索由来のcAMP含量が低下しており, その機序として受容体からadenylate cyclaseにいたるsignal transductionの障害による可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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