糖尿病
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化膿性仙腸関節炎から多発性筋膿瘍をきたしケトアシードシスに至った糖尿病の1例
西村 真子千葉 泰子上杉 由美子谷 長行鳥羽 健伊藤 正毅野本 努堂前 洋一朗柴田 昭
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1994 年 37 巻 6 号 p. 431-436

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抄録

糖尿病長期未治療の58歳の女性.重荷を持ち上げた後右臀部痛が出現し歩行不能となった.さらに嘔吐出現, 摂食不能, 昏睡状態となり近医に入院.糖尿病性ケトアシドーシス, ショック, DICの診断を受け当科へ紹介された.CTにて右腰部・臀部に多発性筋膿瘍の所見を認め, さらに切開排膿術施行時に化膿性仙腸関節炎の所見を認め, 多発性筋膿瘍はこの部より波及したと診断した.起因菌は膣常在菌のPrevotella.biviaであり, 抗生剤治療および切開排膿により改善した.化膿性仙腸関節炎は稀な疾患であり, さらに多発性筋膿瘍を続発した症例の報告はなく, 起因菌が弱毒菌であるP.biviaの報告もない, 本例では基礎疾患として糖尿病を合併していることが一連の病状悪化と関連していると考えられた.過去, 長期未治療糖尿病患者で重症感染症の報告が敬見され, 糖尿病患者で炎症と腰痛の所見があれば仙腸関節炎は考慮すべき疾患の一つと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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