糖尿病
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好中球活性酸素生成能低下の認められた頸部actinomycosis感染NIDDMの1例
佐藤 則之田中 雅史荻原 貴之清水 弘行下村 洋之助森 昌朋
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1994 年 37 巻 7 号 p. 485-491

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抄録

糖尿病の易感染性の原因の一つとして, 好中球機能低下が示唆されている. 今回, 好中球機能の重要な因子である活性酸素生成能が低下していた, 頸部actinomycosis感染NIDDMの1例を経験したので報告する. 症例は56歳男性. 頸部痛, 発熱を主訴に入院. 7年前に糖尿病を指摘. 入院時FBS198mg/dl, HbA1c11.6%, 尿中ケトン体陰性. 好中球活性酸素生成能 [ルミノール (L-DCL) およびルシフェリン依存性化学発光 (CLA-DCL)], および好中球ミエロペルオキシダーゼ (MPO) 活性の明らかな低下を認めた. 頸部腫瘤よりの生検にてactinomycosisと診断. インスリンによる血糖コントロールと, ペニシリン療法により, 頸部腫瘤の縮小, 炎症所見, HbA1c, L-DCL, CLA-DCL, およびMPO活性の改善が認められた. 非常に稀な疾患である頸部actinomycosis症が本症例に併発した原因の一つの機序として, 高血糖に伴う好中球活性酸素生成能 (特に, MPO-H2O2--Cl-系) 低下の関与が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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