糖尿病
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腎不全患者における糖化アルブミン測定の有用性
朝長 修馬場園 哲也田中 好子石井 晶子平山 美智代佐藤 賢武田 將伸作家 有実子青木 かを里高野 靖子宇治原 典子高橋 千恵子大森 安恵
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1996 年 39 巻 11 号 p. 849-855

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抄録

糖化アルブミン (glycated albumin, GA) に対する腎不全の影響を明らかにすることを目的とし, 腎不全群132名 (ブドウ糖負荷試験正常耐糖能16名, 境界型17名, 糖尿病99名), 腎機能正常群298名 (正常耐糖能126名, 境界型24名, 糖尿病148名) における, GAおよびHbA1cを測定した. 正常耐糖能群においてHbA1cは腎機能正常群に比べ腎不全群で有意に高値を示したのに対し, GAは正常耐糖能あるいは境界型群いずれにおいても, 腎不全, 腎機能正常群間で差を認めなかった.重回帰分析や腎不全群におけるエリスロポエチン (EPO) 投与前後の検討で, HbA1cはEPOの投与によって低下することが示唆されたが, GAはEPOの投与のみならず, 血清アルブミン値の影響も受けないことが明らかとなった. 以上から, GAは腎不全に至った糖尿病患者においても血糖制御の指標として用いることが可能であり, さらにEPO投与中の腎不全患者ではHbA1cよりも有用であると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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