1996 年 39 巻 11 号 p. 857-865
糖尿病性自律神経障害について, 交感および副交感神経機能を個別に, かつ同一検査内で評価することを目的にsquatting testの有用性を検討した. 3分間立位後1分間踵鋸, 再度1分間の立位を取り, 規定時間内での平均RR間隔, 最大RR間隔, 最小RR間隔を計測し, squatting test vagal ratio (SqTv=baseline RR/longest RR), squatting test sympathetic ratio (SqTs=baseline RR/shortest RR) を求めた. 40歳以上の健常者72名および糖尿病患者39名を対象として, これらと心拍変動係数 (CVRR), 起立試験, さらに24時間心電図による心拍変動解析の結果とを比較検討した. SqTv, SqTsとも再現性は良好であった. 加齢の影響を受けるため10歳間隔で基準範囲を設定した. 従来の検査法での判定とほとんどの症例で一致し, しかも本検査がより鋭敏であったが, SqTsは副交感神経機能も反映すると思われた.