1996 年 39 巻 12 号 p. 893-899
小林が提唱したSlowly progressive IDDM (SPIDDM) と思われる患者の中で, グルカゴン負荷テスト6分後の血中CPRが1.5ng/ml以下の53例につき, GAD抗体, ICA, HLA, サイロイドテスト, マイクロゾームテストにつき検討した. SPIDDM53例の中で35例 (66%) がGAD抗体陽性で, ICAは6例 (11%) に陽性であった. そこで, GAD抗体陽性SPIDDM35例と陰性18例のHLAおよび甲状腺に対する自己抗体の有無につき検討した. HLAの解析では, GAD陰性例は陽性例に比較して有意にB44, DR13, DQ1を有する頻度が高値であった (P<0.05). 以上, GAD抗体は, SPIDDMの有力な診断マーカーの1つである. しかし, GAD抗体陰性のSPIDDMも存在すると思われる.