糖尿病
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膵全摘後に生じた二次性糖尿病のインスリン治療における微量グルカゴン持続皮下投与の併用効果について
西木 正照大國 智司谷川 敬一郎田村 勝洋加藤 譲
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1996 年 39 巻 2 号 p. 129-135

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抄録

膵癌のために膵全摘術を受けて発生した糖尿病に対するインスリンとグルカゴンの併用効果について検討した. 症例は66歳女性. 膵全摘後にインスリン強化療法とグルカゴン筋注 (1mg, 23時) により治療されたが, 血糖コントロールは不良 (HbA1c8.1%, M値109), 血漿乳酸, ピルビン酸, 遊離脂肪酸, ケトン体は高値であった. 人工膵臓による血糖の厳格なコントロールは遊離脂肪酸ケトン体を低下させたが, 乳酸, ピルビン酸アミノ酸値に影響を与えなかった. 血糖の厳格なコントロールと微量グルカゴン (0.1mg) の夜間持続皮下注の併用は遊離脂肪酸, ケトン体, 糖原アミノ酸をほぼ正常化させた. 同量グルカゴンの1回皮下注効果は不十分であった. インスリン強化療法とグルカゴン持続皮下注の併用により血糖コントロールも改善された (HbA1c6.9%, M値9.4). これらの成績は膵全摘糖尿病に対するインスリンと微量グルカゴン併用投与の有用性を示唆する.

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