糖尿病
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膵移植はインスリン依存型糖尿病におけるインスリン抵抗性を改善する
青木 かを里馬場園 哲也佐伯 明子稙田 太郎寺岡 慧太田 和夫大森 安恵
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1996 年 39 巻 2 号 p. 137-145

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抄録
インスリン依存型糖尿病 (IDDM) のインスリン感受性の低下に対する膵移植の影響を明らかにする目的で, 膵腎移植患者5例に対し, 移植前および移植後経時的に正常血糖クランプ法によるブドウ糖注入率 (GIR) を測定した. またcross-sectionalな比較検討のため, 膵腎移植患者6例に加え, 健常者19例, 腎機能正常のIDDM14例, 透析中のIDDM16例, 腎移植のみ行ったIDDM6例に対しても同様に正常血糖クランプ法を施行した. 膵移植後内因性インスリン分泌が再建されHbA1cが正常化したことに伴い, GIRの明らかな改善を認め, 移植膵が生着する限りGIRは正常範囲を維持した. また各群の比較では他のIDDM3群でGIRが有意に低下していたのに対し, 膵腎移植例のGIRは6.43±1.00mg/kg/minと健常者のGIR (6.95±1.57mg/kg/min) と差はなかった. 以上より, 膵移植はIDDMにおける末梢組織でのインスリン感受性を改善することが明らかとなった.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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