糖尿病
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反復する食事性低血圧にメチル硫酸アメジニウムが奏効したNIDDMの1例
神田 勤今野 英一松島 洋之和田 正彦早石 理江子木村 卓
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1996 年 39 巻 2 号 p. 153-159

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抄録

内因性ノルエピネフリン (NE) 濃度を高め, 昇圧作用を有するメチル硫酸アメジニウム (AM) を, 食事性低血圧 (PPH) を合併し, 食後に意識消失発作を反復するNIDDMに投与したところ, 奏効した症例を経験した. 症例は66歳, 女性. 1971年NIDDMと診断され経口血糖降下剤にて治療されるも, 血糖コントロールは不良であった. 1993年2月頃より1~2回/月, 食後に意識消失発作が数分~10分間出現するようになり, 同年8月当科へ入院. 病歴聴取によりPPHを疑い, 自動血圧計装着下に75gブドウ糖負荷試験 (OGTT) を施行したところ, 全身倦怠感を訴え, 50分後に収縮期血圧 (SBP) は25mmHg下降したためPPHと診断した. この間の血中NE濃度はOGTT前値338pg/ml, OGTT後値268pg/mlであった. そこでOGTT施行2時間前にAMを投与したところ, SBPは12mmHgしか下降せず, 自覚症状もなく, 血中NE濃度はOGTT前値290pg/mlから, 後値348pg/mlに上昇していた. 以上より, 本症例にみられるPPHは, ブドウ糖を含む食事摂取により惹起されるが, AMを投与すると血中NE濃度が上昇する結果, 速やかに改善すると思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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