糖尿病
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筋生検にて横紋筋融解像が証明されマクロCK type 1を合併した糖尿病性ネフローゼ症候群の1例
加藤 雅彦小野 百合保前 英希門田 悟
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1996 年 39 巻 4 号 p. 283-288

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抄録

浮腫増強時に筋原性酵素の著明な上昇を認め筋生検にて横紋筋融解像が証明された糖尿病性ネフローゼ症候群の1例を報告する. 症例は42歳の男性で進行した糖尿病性トリオパチーを有していた. ネフローゼ症候群による全身性浮腫で入院し入院時血清creatine kinase (以下CKと略す) 活性2499IU/l (MM89%) と著明高値で, 血中アルドラーゼ, ミオグロビン (血・尿) も高値だった. 筋生検では混合性 (神経原性+筋原性) 変化とともに横紋筋融解像がみられた. またCKアイソザイムの検索にてマクロCK (IgA, λ) の存在が確認された. 他の高CK血症を呈する病態は合併せず横紋筋融解をおこす薬剤の内服もなかった. 利尿剤投与による浮腫の軽減に伴い血中の筋原性酵素値も低下した. Diabetic neuromyopathyによる骨格筋変化, 全身の細動脈硬化症が基礎にあり問質液貯留が誘因となって組織の循環障害をおこし横紋筋融解をきたしたと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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