1996 年 39 巻 8 号 p. 613-618
経口負荷した場合にhyperfiltrationを来す蛋白の中にも尿中AERを増加させるものとそうでないものがあるかを検討するために, 健常人女性10名とNIDDM女性10名に0.8g/kgの蛋白を (1) 牛肉, (2) 豚肉, (3) マグロ, (4) 卵白, (5) 牛肉+EPA, (6) 豚肉+EPAの形で, 経口負荷し, 負荷前後のGFR, AERを測定した. 健常人については, 6-keto-PGF1α, TXB2の尿中排出量も測定した. 健常人, NIDDMともに, (1)(2)(3)(5)(6) の負荷後にGFRの有意 (p<0.005) な増加を認め, また (1)(2) の負荷後にAERの有意 (p<0.05) な増加を認めた. 健常人で, (1)(2)(3)(5)(6) の負荷後に6-keto-PGF1αの, (1)(2) の負荷後にTXB2のそれぞれ有意 (p<0.05) な増加を認めた. 以上より, 獣肉は経口負荷するとGFR, AERの両者を増加させるのに対し, 魚肉はGFRを増加させるが, AERを増加させず, この差に脂肪酸組成の差とこれによるプロスタグランジンの反応の差が関与していることが示唆された.