糖尿病
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糖尿病を合併したCystic Fibrosis (CF) の1例
高見 和久武田 則之華房 順子足立 佳代子井上 洋川島 卓佐々木 賢二田代 征記安田 圭吾
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1996 年 39 巻 9 号 p. 707-712

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抄録

Cystic fibrosis (CF) は, 本邦では稀有な疾患とされ, またCFに合併する糖尿病の臨床像もほとんど知られていない. 我々は, 成人に至るまで診断されなかった糖尿病合併CF症例を経験したので報告する. 症例は22歳の非肥満女性.12歳時腸閉塞罹患の際糖尿病と診断され, 以後インスリン治療を継続肺炎と糖尿病悪化のため当院入院入院時血糖値462mg/dLと著明高値であったがケトン尿は認めず0抗生剤の投与により発熱咳漱は軽快したが膿性疾が続いた. 喀疾培養で緑膿菌が持続して検出された. Bentiromide試験で膵外分泌能の低下を認めた. 汗試験により汗中Cl60mEq/L以上と高値を示したことよりCFと診断ラ氏島細胞抗体は陰性. 遺伝子解析では欧米CFにおいて頻度の高いCF遺伝子変異△F508, G542X, G551D, R553Xは検出されなかった. 本例では, 若年発症, 非肥満, 著明高血糖にかかわらずケトーシスを呈さない点, CF合併糖尿病に関する欧米の報告と一致していた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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