糖尿病
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血糖コントロール不良のインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) にDICと抗核抗体異常高値を伴って発症した粟粒結核の1症例
三浦 順之助佐伯 明子鈴木 直仁佐藤 麻子岩崎 直子黒木 宏之笠原 督内潟 安子高橋 千恵子岩本 安彦大森 安恵
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1996 年 39 巻 9 号 p. 713-719

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抄録

症例は66歳, 粟粒結核を合併した血糖コントロール不良NIDDM女性. 平成6年10月28日約1カ月続く不明熱を主訴に来院した. 入院14病日, 急性呼吸不全とDICをきたし, 胸部X線写真上間質性陰影を認めた.抗核抗体 (ANA) が2560倍と異常高値を呈したため, 膠原病に伴う間質性肺病変による成人呼吸促迫症候群と考えステロイドを開始した. しかし, 胸部写真は次第に粟粒影を呈し始め, さらにMTC-PCRと結核菌培養の結果から粟粒結核と診断した. 一方, ANAは異常高値を呈したものの, 臓器特異的な自己抗体や抗DNA抗体は検出できなかった. 粟粒結核に伴い, 何らかの自己免疫反応が惹起されたと考えられた. 血糖コントロール不良の糖尿病患者は易感染性の状態で重症全身感染にまで発展する可能性があり, 糖尿病患者の血糖コントロールの重要性が改めて示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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