1997 年 40 巻 1 号 p. 9-15
インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者における圧受容体反射の異常は, 副交感神経と交感神経の両者の障害の結果起こると考えられている. 今回は, 385例のNIDDM患者を対象として, 起立性低血圧 (OH) の頻度, 臨床像, 危険因子と生命予後を調べた.
(1) OHの頻度は15%(n=57) であった.(2) OH合併例は非合併例と比べて高血圧や細小血管合併症, 大血管合併症を高頻度に認めた.(3) 起立時の収縮期血圧低下度と臥位での収縮期血圧および拡張期血圧は有意な正の相関を示した (4) 多変量解析では高血圧, 加齢糖尿病歴R-R間隔変動係数の低下, 腎症が, OHの危険因子として重要であった.(5) 短い観察期間ではあるが, OH群では突然死3例を含む10例がすでに死亡しており (死亡率=65/1000人・年), OHの合併例は生命予後が悪い事が示唆された.