糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
α-グルコシダーゼ阻害剤 (voglibose) の併用がインスリンによる血糖コントロールに有用であった胃全摘後のslowly progressive IDDMの1例
森 俊明宗宮 基垣羽 寿昭大國 智司加藤 譲
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 40 巻 11 号 p. 749-755

詳細
抄録

症例は74歳, 男性. 30年前に糖尿病と診断された. 2年後より経口血糖降下剤無効となり, インスリン治療が開始された. 1年前に胃癌のため胃全摘術を受けた. その後, 著明なやせ (BMI15.2kg/m2), 食後の高血糖ならびに1日1~2回の低血糖発作を認めるようになり, 血糖コントロール目的で入院となった. 血清CPRは著明に低下 (0.3ng/ml) し, 抗GAD抗体陽性を認め, slowly progressive IDDMと診断した. 強化インスリン療法と6分割食による血糖コントロールは困難であった. 強化インスリン療法とαグルコシダーゼ阻害剤とを併用することにより, 食後血糖の低下, 低血糖発作の消失が認められた。同時に血糖日内変動幅の低下, HbA1cの改善 (9.6%→7.8%) を認めた. 以上の成績より, α-GIの併用はインスリンによる血糖コントロール困難な胃全摘後の糖尿病患者の治療に有用と考えられる。

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top