糖尿病
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薬剤性パーキンソン症候群を起こした糖尿病患者の2例
鈴木 吉彦細川 和広渥美 義仁朝比奈 崇介島田 朗村田 千里松岡 健平
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1997 年 40 巻 5 号 p. 299-303

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抄録
薬剤性パーキンソン症候群を発病した糖尿病患者2例を経験した. 症例1は60歳女性. 3243点変異を有するミトコンドリア性糖尿病患者でスルピリド服用によりoral dyskinesiaや固縮が出現した. 症例2は58歳女性. メトクロプラミド服薬後から固縮症状が発現し薬物血中濃度と錐体外路症状発現に相関を認めた. 両者は糖尿病母系遺伝歴を有し, 30歳代で糖尿病発病, 非肥満歴, 難聴脳萎縮を有する点が共通した. 症例2は外転神経麻痺を有するなどミトコンドリア異常を有した疑いが強かった. 結論: ミトコンドリア遺伝子異常は糖尿病やパーキンソン症候群を起こす事が知られている. このため糖尿病での薬剤性パーキンソン症候群発現の背景にはミトコンドリア異常や特殊な神経筋異常症が潜在し, スルピリドやメトクロプラミドなどの血中濃度上昇が契機となり発病が惹起される可能性が疑われた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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