1997 年 40 巻 8 号 p. 539-546
肥満を伴った糖尿病における長期運動と食事制限の影響について, OLETFラットを用いて検討した. 生後6週齢の雄性OLETFラットを5群に分け, 第1群は運動継続群として第1週から第18週まで, 第2群は前期運動群として第1週から第9週まで, 第3群は後期運動群として第10週から第18週まで, それぞれ1日1時間の水泳を行った. 第4群は70%制限食群とし, 第5群は対照群とした. 体重は運動継続群, 制限食群で対照群に比べて有意な低下を認めた. 実験終了時に行ったOGTTでは制限食群, 後期運動群で, 糖負荷後の血糖値が対照群に比較して有意に低下していた. 体脂肪量の検討では, 特に後期運動群, 制限食群で脂肪組織重量が対照群と比較して有意に減少していた. 実験終了時の膵の病理組織学的検索では, 第4群は対照群と比較してラ氏島の肥大と線維化が明らかに抑制されており, 第1群および第3群では両者の中間の所見を認めた. 以上, 長期運動ならびに食事制限は本ラットの耐糖能障害およびラ氏島の肥大と線維化を改善させたと考えられ, またこれらと体脂肪量とが密接な関係にあることが示唆された.