糖尿病
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持続皮下インスリン注入療法で16年間経過した不安定型糖尿病の1例
鴨井 久司高木 正人佐々木 英夫
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1998 年 41 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

CSIIは, 17年前に本邦に導入されたが, 不安定型糖尿病症例の長期間の治療報告は少ない. 今回, 既報の不安定型糖尿病症例が16年間経過した成績を報告する. 68歳の主婦. 49歳に糖尿病性昏睡で発症. 以後, 頻回の高・低血糖性昏睡のため, 51歳から緩衝剤含有速効型中性インスリンとニプロ機器でCSII治療を開始した. 開始後の経過は良好であったが, 再び低血糖性昏睡を発症し, 55歳時に慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症, 59歳時にはACTH単独欠損症のおのおのの治療後に改善を認めた. その後も, 緩衝剤非含有速効型中性インスリンで, 高・低血糖性昏睡を発症した. 現在, 速効型酸性インスリンで安定している. この間, HbA1cは, 4.9-7.1%を推移し, 慢性糖尿病性合併症はない. インスリン拮抗ホルモン分泌不全, 緩衝剤非含有インスリン剤が血糖制御を悪化させたが, HbA1cを7%以下に保持することで慢性糖尿病性合併症の発症を予防でき, CSIIの有効性が示された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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