糖尿病
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粘液産生膵腫瘍の耐糖能異常
インスリン分泌能と抵抗性に関する検討
大越 恵一郎宮原 稔彦小柳 修二郎右田 良克伊藤 鉄英澄井 俊彦中野 逸郎梅田 文夫名和田 新
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1998 年 41 巻 8 号 p. 677-682

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抄録

我々は粘液産生膵腫瘍16症例における耐糖能異常とその成因について検討した. 対象例中10例に耐糖能異常を認めた. 組織型の比較では癌腫は腺腫に比し耐糖能異常の頻度が高かった. 膵外分泌機能は, 耐糖能正常群と異常群の2群に有意差を認めなかった. 膵内分泌機能については, 尿中CPR排泄量は両群ともほぼ良好に保たれており, 耐糖能異常群において, グルカゴンテストでのインスリン分泌反応と, アルギニン負荷試験でのグルカゴン分泌反応はほぼ正常であった. 耐糖能異常3症例の人工膵臓を用いたインスリン感受性の検討では, 全例とも著明なインスリン抵抗性を認めた. 以上より粘液産生膵腫瘍に耐糖能異常の合併頻度は高いが, いわゆる膵性糖尿病で認められる膵内外分泌機能の荒廃によるインスリン分泌能の低下のみでなく, インスリン抵抗性の関与が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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