1999 年 42 巻 1 号 p. 55-59
当初肥満を伴ったインスリン非依存型糖尿病 (MDDM) と診断したが, 肺炎を契機に重症の糖尿病性ケトアシドーシスとなり滞在先の中国でインスリン治療の導入によりインスリン依存型糖尿病 (IDDM) と考えられた症例を経験した・本例では, 中国滞在中に急性増悪を起こしたためインスリン治療初期の約8ヵ月間, 中国製インスリン製剤により治療を受けた. 中国製インスリンと本邦で通常使用されているインスリン製剤と比較すると, 同程度の血糖コントロールを得るための投与するインスリン単位数に大きな差が認められた. 製剤力価および純度を検討した結果, 中国製インスリン製剤の特性を明らかにすることができ, 本邦では貴重な経験例と考えられた.