1999 年 42 巻 5 号 p. 367-372
血糖自己測定は, 糖尿病の治療, 管理ならびに患者教育に重要であり, 現在多くの簡易血糖自己測定器が開発されている. われわれは, 酵素比色法3機種, 固定化酵素電極法6機種の基礎的検討を行い, 併せて操作性についても評価を行った. 基礎的検討の結果, 同時再現性, 直線性, 自動分析装置との相関は良好な成績が得られた. しかし, ヘマトクリット値の異常や共存物質の影響を受けた機種があり, 測定値の評価に配慮が必要な検体があると思われた. また, グルコースオキシダーゼを用いる酵素電極法では血中溶存酸素の影響がみられたため, 手術中等, 酸素分圧が上昇した検体には注意が必要と考えられた. 検体量は各機種で定められた量を遵守することが重要である. 操作性に関する調査では, 使いやすいとされた機種は画面表示の文字が大きく, 操作手順をアイコンで表示するものであった. 一方, 試験紙・電極チップの取り扱い易さ等が問題として挙げられた.