糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
治療法の多様化によって血糖コントロールは改善したか
伴野 詳一河津 捷二宇都木 敏浩加藤 典弘大野 富雄大山 良雄内山 強伊藤 弘麿伴野 和夫永井 良三
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 42 巻 8 号 p. 667-672

詳細
抄録

αグルコシダーゼ阻害薬 (α阻薬), インスリン (In) 抵抗性改善薬 (トログリタゾン: TZD), 新型In注入器等, 登場以前の1991年 (前期) に6ヵ月以上通院していた糖尿病外来患者291例と, 登場後の1997年 (後期) の患者394例の血糖コントロール状況を比較した. 全体では前期のHbA1c 7.9±1.7%, 後期7.2±1.5%で, 後期の方が有意に低く (p<0.001) 血糖コントロール良好であった. 前期の経口薬治療138例の内訳は, スルフォニルウレア薬 (SU薬) 97.1%, ビグアナイド薬 (BG薬) 3.6%, 両者併用0.7%であったのに対し, 後期の194例ではSU薬54.1%, BG薬3.6%, α阻薬2.1%, Tr2.1%, 2種以上の薬物併用38.1%と多様化しており, HbA1cは前期8.6±1.7%, 後期7.4±1.3%と有意に低かった (p<0.001). In療法例も前期82例の経口薬併用が6.1%であったのに対し, 後期107例では34.6%と増加し, 注射回数も多く, HbA1cは前期8.6±1.9%, 後期7.9±1.6%と有意に低かった (p<0.01). 治療の多様化で, より良い血糖コントロールが得られていることが判明した.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top