糖尿病
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耐糖能異常合併冠動脈硬化症における血糖コントロールの臨床的意義
峯廻 攻守田中 繁道
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1999 年 42 巻 9 号 p. 735-742

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抄録

動脈硬化症 (CAD) を促進する冠危険因子中, 耐糖能異常 (AGT) に着目し, 病因論的独立性とその特色を明らかにすべく検討を行った. 1996年1月-同年12月末までの循環器内科全入院症例765例および入院症例中CADを有する非糖尿病 (Non-DM) 群72例, AGT群64例 [耐糖能障害 (IGT) 23例, インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 41例] を対象とした. CADの重症度はすべて冠動脈造影を基本とし, Gensini Scoreを用いた. その結果, (1) 全入院症例中48%にAGTを認めた.(2) 他の冠危険因子の合併を調整しても, AGTは独立したリスクであった.(3) Hb A1cとCAD重症度との間には, Non-DM群では相関を認めず, AGT群では有意 (r=0.589, p<0.05) の正相関を認め, 機序として糖代謝異常そのものが, CADの進展に直接関与する可能性が示唆された. IGTを含めてAGTの激増が予想される本邦の現況下で, 死因であるCADの一次予防のためにも, IGTを含めたAGTの管理, すなわち血糖コントロールがますます重要であることを強調したい.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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