糖尿病
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ケトアシドーシスを伴う1型糖尿病発見の発端となったミノサイクリンが著効した色素性痒疹の1例
姫野 治子牧 之博姫野 利隆吉成 元孝藤島 正敏
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2000 年 43 巻 11 号 p. 957-961

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抄録

症例は20歳の女性. 1997年4月より12kgの体重減少, 口渇, 多飲, 多尿, 痺痒性皮疹が出現し, 6月皮膚科を受診した. 特徴的皮疹と高ケトン血症 (3ヒドロキシ酪酸以下30HBA, 3450μmol/l) より色素性痒疹と診断した. ミノサイクリン50mg投与で皮疹は軽快したが, 倦怠感が増強, 随時血糖450mg/dlを認めたため, 当科へ入院した, HbA1c 15, 596, pH7. 19, HCO3-7.6mmol/l, 抗GAD抗体117U/ml, 空腹時血中CPR0.8ng/ml であり, ケトアシドーシスを伴う1型糖尿病と診断し, 治療を開始した. 皮疹は順調に改善し, その後の再発はない. 糖尿病性ケトアシドーシスによる高ケトン血症を誘因に出現した色素性痒疹と考えられ, ミノサイクリンが有効であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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