糖尿病
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2型糖尿病患者の骨代謝に関する研究
糖尿病性腎症における検討
石井 晶子馬場園 哲也朝長 修高橋 千恵子岩本 安彦
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2000 年 43 巻 12 号 p. 1043-1049

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抄録

糖尿病性腎症と骨代謝の関連を解明する目的で, 血清クレアチニン値正常の2型糖尿病患者を対象に, 早期の骨形成および骨吸収マーカーであるI型プロコラーゲンC末端プロペプチド (以下PICP) およびI型コラーゲンCテロペプチド (以下ICTP) を測定, 腎症病期 (腎症前期, 早期腎症期, 顕性腎症期) 別に比較した. 女性では腎症の進行に伴いPICP, PICP/ICTP比, 活性型ビタミンDの低下およびICTPの上昇を認め, またそれらの変化は活性型ビタミンDと有意に関連した. 男性ではPICP, ICTPは統計学的に有意ではなかったが女性と同様の傾向を示し, PICP/ICTP比は早期, 顕性腎症期で有意に低下した, これらの結果から, 糖尿病では腎症の比較的早期より骨吸収の増加と骨形成の低下をきたすことが明らかとなり, この傾向は特に女性において顕著であった. またこれら骨代謝異常には, 活性型ビタミンDの低下が関与している可能性が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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