糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
カンジダ性疣贅性心内膜炎, 多発性微小脳膿瘍, 腎膿瘍を合併した2型糖尿病の1剖検例
平井 法博進士 永子四倉 正博神 由加理田中 啓司野見山 哲田中 昭太郎矢島 義忠金森 晃的場 清和藤田 芳邦
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 43 巻 12 号 p. 1071-1076

詳細
抄録

83歳, 女性. 罹病歴15年の2型糖尿病. 尿路感染症と糖尿病性ケトーシスにて緊急入院した. 抗生物質の投与を開始し炎症反応は一度改善したが, 肺炎, 心不全, 意識障害, 右上肢の不全麻痺を併発し死亡した, 臨床的に肺炎, 脳梗塞と診断したが, 剖検でカンジジダ性の疣贅性心内膜炎, 多発性微小脳膿瘍, 腎膿瘍の病理組織学的診断を得た. 入院経過中に反復して施行された尿培養, 血液培養は全て陰性で, 心工コー, 頭部CTによっても弁膜の疣贅や脳膿瘍はいずれも診断し得なかった.
以上, 糖尿病患者が経過中に原因不明の脳神経症状, 意識障害, 心不全などが出現した場合には, 真菌の全身への播種を念頭において, 尿, 血液その他の培養検査や心工コーなどを繰り返しおこない早期診断. 治療にあたるとともに厳格な血糖コントロールの必要があると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top