糖尿病
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14年間血糖コントロール不良にもかかわらずミクロアンギオパチーの合併を認めなかった多腺性自己免疫症候群type IIの1例
服部 泰子大月 道夫小川 弘之高木 美紀斉藤 博住谷 哲幸原 晴彦笠山 宗正
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2000 年 43 巻 3 号 p. 215-219

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抄録

症例は49歳, 女性, 35歳時, 慢性関節リウマチ (RA), インスリン依存型糖尿病 (IDDM), 原発性甲状腺機能低下症および肝硬変と診断された. 41歳時, 潜在性原発性副腎機能低下症およびシェグレン症候群の合併を指摘され多腺性自己免疫症候群 (PGAS) type IIと診断された. 42歳時, RAの増悪に伴いプレドニゾロン (5mg/日) を開始された. 本症例はbrittle型糖尿病を呈し, 厳格な血糖コントロールが困難であり, 全経過を通じて血糖コントロールは極めて不良であった. しかしIDDM発症後14年を経過した現在も糖尿病性ミクロアンギオパチーを全く認めていない. PGAS type II患者における糖尿病性血管合併症の臨床像については報告がないが, 本症例は糖尿病性ミクロアンギオパチー発症の機序を考える上で一つの示唆を与える症例と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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