2001 年 44 巻 12 号 p. 955-958
症例は29歳男性, 糖尿病性ケトアシドーシスによる昏睡, ショックのため他院より転院, 血糖1, 600mg/dl, pH7.05, 尿ケトン3+, HbA1c 12.896であった. インスリンおよび10Lの輸液にて救命. 第4病日より前額部の発汗過多および両側大腿部 (外側大腿皮神経領域) の知覚鈍麻, 異常感覚が出現1カ月後, 食事療法のみで血糖コントロール良好となり, 発汗過多および右大腿部の知覚異常は徐々に改善したが, 左大腿部の知覚異常は持続し, 電撃痛も自覚するようになり, 発症後1年以上を経過しても症状は持続している.
Meralgia parestheticaとも呼ばれる外側大腿皮神経障害と発汗異常などの神経障害を合併した糖尿病性ケトアシドーシスの報告例は本邦においてはなく, 貴重な症例と思われ報告した.