糖尿病
急性膵炎発症後急速にインスリン依存状態をきたし, 単純ヘルペスウイルスの関与が考えられた糖尿病の1例
長岡 匡寺田 光宏宮腰 久嗣
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44 巻 (2001) 4 号 p. 335-340

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抄録

症例は26歳女性. 腹痛, 血清アミラーゼ高値, 膵臓腫大を認め中等症の急性膵炎と診断. 入院時血糖値は60mg/dl. 膵炎は入院後保存的に治療し3週間で軽快, 退院1週間後より急速に口渇出現. 血糖値417mg/dl, HbA1c 10.1%, 血中ケトン体著増, 血液ガスでpH7.212より糖尿病性ケトアシドーシスと診断し再入院. 抗GAD抗体, lCA等の自己抗体は陰性, HLA-DR抗原は4, 9. 尿中CPR排泄量5.2μg/日, グルカゴン負荷時の血中CPR測定感度以下. ウィルス学的には, 膵炎入院時の単純ヘルペスウイルスIgM抗体陽性, その後経過と共にlgM抗体価は低下し, lgG抗体価は2560倍まで上昇した. 糖尿病は強化インスリン療法にてコントロールを行った. 三大合併症は認めなかった. 本例における糖尿病は急性膵炎による二次的なものではなく, 単純ヘルペスウイルス感染が膵外分泌腺だけでなく膵内分泌腺にも強い障害を起こした可能性が考えられた. 本例とlmagawaらの報告した1型糖尿病非免疫性劇症型との間には類似点が多いが, 両者の鑑別にはウィルス感染の有無を明らかにすることが重要と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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