糖尿病
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糖尿病における潜在性の冠動脈病変の存在
血管内超音波法による検討
大橋 聡宮内 克己蔵田 健佐藤 仁桜井 秀彦代田 浩之
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2001 年 44 巻 6 号 p. 481-488

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抄録

糖尿病患者の冠動脈の特徴を明らかにするため, 冠動脈形成術 (PTCA) を施行した糖尿病患者40例と非糖尿病患者83例に対し, 血管造影上正常と思われる部位を血管内超音波 (-VUS) で観察した. PTCAのtarget segmentを除いた右または左冠動脈の716 segmentについて, lVUS画像から全血管面積, 内腔面積, プラーク面積および内腔狭窄率を計測した. 冠動脈造影所見では糖尿病群において多枝病変が多く (65%vs.42%, p=0.0177), 冠動脈スコアが高かった (26points vs.20 points, p: 0.0488) が, 平均狭窄率や病変形態には差を認めなかった. lVUS所見では, 左冠動脈前下行枝近位部において糖尿病群の内腔断面積は非糖尿病群のそれより有意に小さかった. また右冠動脈中間部においても内腔断面積は, 糖尿病群で非糖尿病群より有意に小さく, 内腔狭窄率は有意に大きかった. PTCAのtarget segmentを測定部位より除外していながら, 2群間にIVUS上の内腔断面積の差を認めたことは, 糖尿病群では血管造影上明らかでなくとも, 病変がび慢性に続いていることが推測された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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