2001 年 44 巻 9 号 p. 777-782
糖尿病では動脈硬化性疾患の発症頻度が高いことから, 日常生活の障害をもたらし, また生命予後に強く関与する. したがって動脈硬化性疾患を考慮した糖尿病診療が求められる. このようなことから1998年に日本糖尿病学会と日本動脈硬化学会の合同委員会が設置され日本内外の成績について検討を重ねた. これまでの成績では冠動脈硬化性疾患 (CAD) を対象とした検討成績の多いことから, 合同委員会では糖尿病におけるCADを主たる対象としてガイドラインを作成した. その結果, (1) 高血糖の是正, 特に, HbA1cの正常化 (5.8%以下を目指し, 6.5%未満を上限とする), (2) 高脂血症の是正は日本動脈硬化学会のカテゴリーCに準じて対応する (血清LDL-C<100mg/dl, TC<180mg/dl, TG<150mg/dl, HDL-C≧40mg/dl), (3) 高血圧の正常化 (130/85mmHg未満), (4) 肥満の解消 (BMI25kg/m2未満), (5) 禁煙など, 様々な動脈硬化危険因子を是正することが重要であることを掲げた.