抄録
患者は36歳, 男性.主訴は意識障害, 嘔気, 嘔吐, 来院時, 血糖236mg/dl, 尿ケトン体 (3+), 動脈血ガス分析ではpH6.94, BE-28.4にて糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) であり, また強乳び血溝で総コレステロール (TC) 1.185mg/dl, 中性脂肪 (TG) 13, 460mg/dlと著明な高脂血症を認め, 緊急入院となった, 糖尿病は1型, 高脂血症はV型であった.急性膵炎の併発は認めず, 入院時の脂質分析ではApoA, Bの低値とApoE, RCP-Cの著明高値を認めた.入院後はインスリン持続注入およびLDLアフェレーシスにて治療.急性期を脱した後は糖尿病に関しては1, 800kcalの食事制限, 速効型インスリン毎食前4単位, 中間型インスリン眠前4単位の強化インスリン療法とボグリボース (0.2mg) 2錠2×朝夕食直前の併用で血糖コントロール良好となり, 高脂血症に関してはべザフィブラート400mg, プラバスタチン10mg, コレスチミド3,000mgにてTC112mg/dl, TG123mg/dl, HDLコレステロール (HDL-C) 45mg/dlと改善を認め, 心電図異常があったため冠血管病変検索目的のため当院循環器科転科となった.なお冠動脈造影 (CAG) 上異常は検出されなかった. 本症例のようにDKAに著明な高脂血症 (V型) を併発した報告は稀であり, 貴重な症例と考えた.