糖尿病
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経過中にベーチェット病を併発したインスリン抵抗性著明な糖尿病の1例
神田 嘉寿子岡田 洋右新生 忠司西田 啓子谷川 隆久森田 恵美子田中 良哉
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2002 年 45 巻 10 号 p. 767-771

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抄録

症例は40歳男性.8歳時に尿糖を指摘されたが放置 (肥満なし).20歳時 (身長1625cm, 体重63kg) より体重増加が始まり, 31歳時 (80kg) 近医にて糖尿病, 両側感音性難聴と診断.食事療法1200kcal/日と経口血糖降下薬にて治療し, 空腹時血糖は350mg/dlから140mg/dlへ, HbA1cも約1096から約896まで改善したが, 自己判断にて通院を中断.39歳時, 発熱, 毛嚢炎を生じ当科入院.虹彩炎, 血栓性静脈炎, 再発性口内炎, 結節性紅斑などよりベーチェット病と診断し, シクロスポリンなどの治療にて改善傾向を示した.一方, 高度の肥満 (94.2kg, BMI358), 75gOGTT, 尿中Cペプチドなどの結果より著明なインスリン抵抗性が示唆された.食事療法1, 200kcal/日とボグリボース0.9mgにて空腹時血糖は240mg/dlから120mg/dlに改善した.本例は, 若年発症で高度肥満に伴うインスリン抵抗性を呈するが, 現在までインスリン分泌能低下や合併症を認めていない.また, 感音性難聴の併発からミトコンドリア遺伝子異常を疑って実施した検索で, 家族性の3206C→T点変異を認めた.本変異は糖尿病では少なくないが, その病的意義やベーチェット病との関連性については不明である.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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