糖尿病
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モサプリドが著効を示した1型糖尿病胃腸症の1例
バリウムマーカー法による検討
宮下 寧佐藤 則之本橋 諭加瀬 浩之飯嶋 秀郎川越 宣明松村 美穂子熱田 晴彦望月 保宏黒田 久元伴場 信之笠井 貴久男
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2002 年 45 巻 2 号 p. 101-105

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抄録

21歳, 女性. 8歳時発症の1型糖尿病. インスリン強化療法による治療を受けていたが, 血糖コントロールが不安定のため入院となる. 便秘を数年来自覚していた.尿中CペプチドはL5μg/臼と著明に低下. インスリン拮抗ホルモンや抗インスリン抗体等の異常は認めなかった, 心電図R-R間隔変動は2.5%と低下し, バリウムマーカー法では著明な全消化管の運動低下を認めた (50%transit time at anus=124 hrs). 血糖コントロール不安定の主要因は胃腸症にあると考え, モサプリド (選択的セロトニン5-HT4アゴニスト) を投与したところ, 便秘の改善, バリウムマーカー法による消化管運動の著明な改善 (50%trans it time at anus=48 hrs), さらに良好な血糖コントロールが得られた. 糖尿病胃腸症に対しモサプリドの効果を全消化管運動について客観的に評価した報告はなく, 今回その著効例をバリウムマーカー法により評価し得たので報告する.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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