糖尿病
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明らかな上部消化器症状を伴わない糖尿病患者における胃電図の検討
取違 直子岩瀬 正典五島 大祐内薗 祐二吉成 元孝飯田 三雄
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2002 年 45 巻 3 号 p. 167-171

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抄録

近年, 非侵襲的な胃機能検査として経皮的胃電図が注目されている, われわれは上部消化器症状を有しない糖尿病患者の胃電図について自律神経障害の有無の点から検討した. われわれは明らかな上部消化器症状を訴えない糖尿病患者19例と健常対照者7例について, 朝食前と朝食後60分間の胃電図を測定した. 糖尿病患者は心臓自律神経検査により自律神経障害を合併しない例と合併する9例に分けて検討した, 胃電図の正常周波数である3cpm波の含有率は空腹時には対照群, 自律神経障害を合併しない群, 自律神経障害合併群の間に有意差を認めなかったが, 食後の3cpm波含有率は自律神経障害合併群で対照群より有意に低値であった (対照群67±10% 自律神経障害の合併がない糖尿病群48±6%自律神経障害合併の糖尿病群37±9%, vs対照群p<0.05). また, 食後の振幅増加率は対照群と比較して, 糖尿病患者で低い傾向にあった. 明らかな消化器症状を訴えない糖尿病患者において, 胃電図異常は自律神経障害と関係することが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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