糖尿病
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疾患抵抗性と中立のハプロタイプを有し小腸腫瘍を合併した緩徐進行型1型糖尿病の1例
片平 正人
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2002 年 45 巻 3 号 p. 181-185

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抄録

症例は66歳, 男性, 1990年に糖尿病と判明し, 主に食事療法でHbA1c6.2~8.9%で推移. 1998年以降HbA1c>10%となりスルホニル尿素剤無効のため2000年9月当院紹介. 随時血糖202mg/dl, HbA1c14.5%, 抗GAD65抗体79.4U/mlであり, 小腸腫瘍の合併も判明し入院. 尿CPR6.4μg/日, 抗インスリン抗体, 抗IA-2抗体は陰性. 手術後, 組織はGastrointestinalStromal Tumor (GIST) と判明し, 尿CPRは77.9μg/日に回復したが抗GAD65抗体価は不変. HLAは疾患抵抗性のDRB1*1502, *0403, DQB1*0601と感受性のDQB1*0302を有していた. アリル, ハプロタイプとも抵抗性は感受性よりも優位なため, DRB1*0403-DQB1*0302は抵抗性もしくは中立, DRB1*1502-DQB1*0601は抵抗性ハプロタイプであり, このようなゲノタイプを有していたために, 本例では1型糖尿病であっても耐糖能悪化因子の除去によりインスリン非依存状態まで回復したと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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