糖尿病
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糖尿病性ケトアシドーシスとhepatocyte growth factor
清野 弘明渡辺 裕哉山口 日吉三崎 麻子武藤 元北川 昌之山崎 俊朗熱海 真希子菊池 宏明阿部 隆三
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2002 年 45 巻 4 号 p. 225-229

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抄録

われわれは糖尿病性ケトアシドーシス時にInterleukin-6 (IL-6) 等のサイトカインが血中に増加することを報告してきた. 近年, 肝細胞の増殖因子として, Hepatocyte Growth Factor (以下HGF) の構造解析がなされ, さらにHGFは種々の機能を有するサイトカインであるとも解明された. そこで, 糖尿病性ケトアシドーシス時には血中にHGFが増力口している可能性を考え, ケトアシドーシス (12例) の血清中のHGFを検討した. 対照として, ケトーシスを伴わない, 単なる高血糖の患者 (8例) の血清中のHGFも測定した. ケトアシドーシス群のHGFは1.28±0.99ng/mlで, 高血糖群のHGFは0.35±0.15ng/mlで有意 (p<0.05) にケトアシドーシス群で高値であった. ケトアシドーシス時のHGF高値の病因は不明であるが, ケトアシドーシス時にHGFが高値を示すという報告はなく, 興味深い現象と思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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