糖尿病
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肝動脈塞栓術で2年8ヵ月経過観察し得た転移性悪性インスリノーマの1剖検例
本邦における肝転移を来した悪性インスリノーマの検討
川地 慎一棚橋 忍大西 隆哉浅野 寿夫小川 徹柴田 敏朗白子 順子岡本 清尚
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2002 年 45 巻 4 号 p. 245-251

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抄録

症例は55歳女性. 1997年10月意識消失を認め搬送された. 血糖値25mg/dlで, ブドウ糖経静脈的投与にて意識は改善し, 低血糖性昏睡の診断にて入院した, 空腹時インスリン/血糖 (l/G) は1.11と高値であり, 腹部US, CTにて膵体尾部腫瘍と多発性肝腫瘍を認めたことより悪性インスリノーマが考えられた. 12月, 膵腫瘍摘出術および肝腫瘍生検を施行した, 病理組織上は, 形態・染色性よりいずれもランゲルハンス島由来と考えられ, 膵周囲組織・神経・脈管・リンパ節への浸潤を認めた. 以上より, 肝転移を伴う悪性インスリノーマと診断した, 術後l/G比は0.21に改善し, 低血糖は消失した. 転移性肝腫瘍に対して術後肝動脈塞栓術 (TAE) を施行し, l/G比は0.06とさらに低下した. 計7回のTAEを行ったが, 徐々に低血糖を抑制できなくなり, 2000年6月, 死亡した. 発症から2年8カ月間の全経過で, 2年1カ月間を外来で過ごした. 肝転移を伴う悪性インスリノーマの報告例は少なく, われわれの検索では本邦で40例目である. その治療法は確立されていないが, 本症例ではTAEが奏効し, QOLの改善を得た.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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