糖尿病
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抗GAD抗体を認めた緩徐進行性1型糖尿病と進行性小脳失調症との高齢同時発症の1例
筒泉 正春松下 達生鈴木 光太郎船曳 あゆみ大橋 一松森 良信山口 徹
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2003 年 46 巻 10 号 p. 791-793

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抄録

症例は81歳, 女性. 23歳時バセドウ病のため甲状腺切除術. 70歳時失調性起立・歩行障害が出現.その数カ月後, 体重減少, 口渇出現し, 血糖675mg/dl, HbA1c 14.3%と高値のため糖尿病と診断し, 持続型インスリン1日1回の皮下注を開始し血糖コントロール良好となった.その後血糖コントロールは次第に不良となり, 尿中CPRも当初の79μg/dayから72歳時には1μg/dayと低下し, 強化インスリン療法やCSIIを要した. また, この頃より小脳失調症状がより明らかとなり, MRIで小脳萎縮が検出され進行性小脳変性症と診断した.抗GAD抗体は76歳時3.9U/mlと陽性であり, 臨床経過より緩徐進行性1型糖尿病と思われた.1型糖尿病で陽性となる抗GAD抗体は進行性小脳失調の病因となることが知られ, 本例は抗GAD抗体価が低いが, バセドウ病の既往も有することから, 病態に自己免疫機序の関与した可能性が疑われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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