糖尿病
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糖尿病腎不全患者の透析導入
血清アルブミン値に着目して
野口 享秀近藤 健仁鷹津 久登
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2003 年 46 巻 11 号 p. 863-868

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抄録

糖尿病 (DM) 腎症腎不全期にはネフローゼ症候群を呈する群と呈しない群があるが, 血液透析 (HD) 導入時における病態については良く知られていない. 今回血清アルブミン (Alb) 値の差による血液透析導入時期の各パラメーター (血清クレアチニン (Cr), BUN, HbA1c, 一日尿たんぱく排泄量) について, DM歴10年以上で増殖性網膜症のあるDM腎症腎不全患者43名 (DM群) と慢性糸球体腎炎患者 (CGN群) 58名と比較検討した. DM群では著しい低アルブミン血症であるAlb=2.5g/dl以下が32.696を占め, 導入理由では心不全を含む浮腫が多く, CGN群ではAlb=2.5g/dl以下は12.1%であり, 導入理由は消化器症状が多かった. Alb=2.5g/dl以下のDM群は平均Cr=4.7±2.1mg/dlでHD導入されていた, 今回われわれの症例のDM群にてA1b値と一日尿たんぱく排泄量の間はr=-0796 (p<0.01) と負の相関を, A1b値とCr値間にr=0.493 (p<0.01) と正相関を認めた.DM群はA1b低値を示す症例が多く, 浮腫のためCr=5.0mg/dl以下にてHD導入しなければならない症例を多数 (27.9%) 認めた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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