糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
非自己免疫性劇症1型糖尿病の臨床像を呈したが抗GAD抗体が陽性であった1例
中條 大輔若杉 隆伸八木 邦公馬渕 宏小泉 順二
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 46 巻 2 号 p. 125-128

詳細
抄録

症例は56歳, 男性.2000年3月に人間ドックで施行された75gOGTTでは, 負荷前血糖値107mg/dl, 2時間値202mg/dlと軽度の糖尿病型であった.4月17日より口渇, 夜間多尿が出現し, 4月22日に救急外来に搬送された.血糖値1, 130mg/dlで, 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) をきたしていたが, HbA1cは6.6%であった.膵外分泌系酵素が上昇していたが, 腹痛や膵腫大など急性膵炎を示唆する所見は認めなかった.尿中CPR3.0μg/day, 血清CPRは早朝空腹時0.2ng/ml, グルカゴン負荷6分後0.2ng/mlであり, 内因性インスリン分泌能は枯渇していた, 抗GAD抗体は3.6U/mlと陽性であった.臨床像は非自己免疫性劇症1型糖尿病に合致していたが, 抗GAD抗体が陽性であり, 劇症型糖尿病にも自己免疫が関与するタイプの存在する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top