糖尿病
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糖尿病を合併した遺伝性ヘモクロマトーシスの同胞内発症例
鈴木 厚成瀬 達北川 元二石黒 洋鈴木 康史嶋野 祥子傍島 裕司青木 孝彦森 雅也柴田 大河水谷 直広早川 哲夫
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2003 年 46 巻 3 号 p. 235-240

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抄録

今回われわれは糖尿病加療中に診断された遺伝性ヘモクロマトーシス (HH) の同胞内発症例を経験した. 症例1は51歳, 男性. 糖尿病の通院加療中に急性心不全を発症し, 心筋生検で確定診断された. 心不全のため潟血困難であり, 4カ月後に死亡した. HLAはA24, 33, B44, 52, w4であった. 症例2は50歳, 症例1の妹. 半年前に糖尿病を指摘され, 肝生検で確定診断された, 潟血療法を開始し, 経過良好である, HLAはA24, B46, 52であった. 両症例ともC282 YH63DのHFE遺伝子変異を認めなかった. 外来通院中の糖尿病患者958例の血清フエリチンを測定したが, ヘモクロマトーシスは発見されなかった. 本邦ではHHのHLAは一定の形式を持たず, HFE遺伝子変異を認めず, 欧米と比べ発症は非常に稀であるが, 早期治療が予後を大きく左右し, 糖尿病の原因疾患のひとつとして念頭に置く必要がある.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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