糖尿病
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汎用生化学自動分析装置における新しいグリコアルブミン酵素測定法の評価
渡部 直美武井 泉渡辺 清明
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2003 年 46 巻 3 号 p. 253-258

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抄録

近年, グリコアルブミン (以下GA) 測定は, 経口剤やインスリンの導入時など, 日常の糖尿病臨床に用いられるようになってきた. しかし, 従来の測定法はHPLC法を原理とする専用測定装置によるのもので, 1検体あたりの処理時間や費用の点で, 汎用性に欠けていた,
最近, 汎用生化学自動分析装置に適用可能な, 酵素法を原理とする測定試薬 (以下GA酵素法) が開発されたので, その基礎的検討を行った. 検討の結果GA酵素法による測定の同時再現性, 希釈直線性は良好であった, 共存物質の影響は, アスコルビン酸, 乳びに関して影響は認められなかった. 一方, 高濃度ビリルビンおよび高濃度ヘモグロビンは低値傾向を示した. また, 採血管の違いによるGA%値の比較を行ったところ, 生化学用 (血清), ヘモグロビンA1c用 (血漿), 血糖用 (血漿) の3種において, 測定値に有意な差は認められなかった. HPLC法とGA酵素法との相関は, 血漿検体 (r=0.9940), 高グロプリン血清検体 (r=0.9637), 低アルブミン血清検体 (r=0.9783) のそれぞれにおいて極めて良好であった. GA酵素法による基準範囲は, 12.1~16.0%6であった. 以上, GA酵素法の基本性能は従来のHPLC法と同等であった. 酵素法によるGAの測定は, 他の生化学検査と同一検体で汎用自動分析装置による多検体同時測定が可能となり, 糖尿病臨床において有用であると思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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