糖尿病
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糖尿病患者における食事療法用宅配食品の有用性に関する検討
田近 正洋山之内 国男杉本 季代鈴木 恵美山口 有紗安井 まり平岡 潤子高野 良子竹田 紀子加賀谷 みえ子加藤 昌彦武藤 泰敏戸谷 理英子
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2003 年 46 巻 6 号 p. 429-435

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抄録

食事療法用宅配食品の有用性について検討した. 外来糖尿病患者12例を対象とし, 3カ月間宅配食を摂取させ, その前後で糖尿病の病態およびQOLを観察し比較した. 食事摂取量は研究前1841 kcal day (平均) が, 宅配食摂取1カ月後, 2カ月後と徐々に低下し, 3カ月後には1640 kcal dayと有意に低下 (p<0.05), 指示量1583 kcal/dayに近づいた. HbA1cは研究前7.2%に対し, 3カ月後7.0%と低下する傾向を示し (p=0.079), さらにTGは2017 mg/dlから3カ月後158.8 mgdlへと有意に低下した (p<0.05). QOLは宅配食摂取中には変化を認めなかった. 宅配食は栄養計算の理解が不十分な症例や実際の献立, 調理が難しい症例などにおける糖尿病治療法の一つとして有用である可能性が示唆された. しかし, 今後も利用したいと答えた患者は4例のみであり, 長期に利用するには食事内容など更なる工夫が必要であると思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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