糖尿病
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悪性貧血, 慢性甲状腺炎を合併した緩徐進行性1型糖尿病の1例
小林 正人濱西 徹玉井 昌紀下村 裕子若崎 久生古田 浩人西 理宏英 肇松本 英作中尾 大成佐々木 秀行南條 輝志男
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2004 年 47 巻 2 号 p. 123-128

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抄録

症例は59歳, 男性, 2000年1月, 近医にて糖尿病を指摘され, 食事療法, 運動療法の指導を受けたが, 血糖コントロールが増悪したため, 同年9月よりglibenclamideの内服を開始した. 2001年2月, 健康診断にて随時血糖値491mg/dl, HbA1c値12596と血糖コントロール不良のため当科に紹介される. GAD抗体価7,000U/ml以上と著明高値であり, 発症当初は2型糖尿病様の臨床像を呈していたことなどより, 緩徐進行性1型糖尿病と診断した. また, 軽度の大球性貧血および甲状腺腫脹を認めたため精査を行ったところ, 悪性貧血, 慢性甲状腺炎の合併が判明した. 悪性貧血についてはmethylcobalaminの経口投与にて貧血が改善した. 自己免疫学的機序によって, 複数の内分泌腺もしくは非内分泌腺疾患が発症する自己免疫性多内分泌腺症候群 (autoimmune polyglandular syndrome: APS) が知られているが, 本例はAPS type IIIと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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