糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
下垂体TSH産生腺腫摘出後, 耐糖能が正常化した1例
小島 敏弘山本 眞由美安田 圭吾
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 47 巻 3 号 p. 227-232

詳細
抄録

症例は73歳, 女性. 発汗, 下痢, 体重減少を自覚して受診.FT3, FT4, TSHの高値と, 頭部MRIで径8mmの下垂体前葉腫瘤の所見などより, 下垂体TSH産生腫瘍と診断.経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術, ブロモクリプチン内服を試みたが甲状腺機能亢進状態は改善せず, 再手術施行後に甲状腺機能が正常化した. 免疫染色病理組織診断はTSH産生腺腫であった. 75gOGTTによる耐糖能は, 術前糖尿病型であったが, 再手術後正常化した. インスリン抵抗性の指標 (HOMA-R) やインスリン分泌能の指標 (insulinogenic index, グルカゴン負荷試験) は, 術前術後で大きな変化を認めなかった, 本例のようなTSH過剰による甲状腺機能亢進状態でも, 原発性甲状腺ホルモン過剰状態と同様に, 耐糖能が低下し, 甲状腺機能正常化とともに正常化した症例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top