糖尿病
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30年を超える罹病期間にもかかわらず明らかな細小血管障害を認めないミトコンドリア糖尿病の1例
佐々木 誠一島田 朗木村 浩晃武井 泉丸山 博猿田 享男
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2004 年 47 巻 5 号 p. 381-386

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抄録
症例は60歳, 女性. 31歳時に「インスリン依存型糖尿病」と診断され, インスリン療法が開始された. 33歳時より両側性感音性難聴を認め, 51歳時にミトコンドリア遺伝子異常 (3243A→G点変異) と診断された. 60歳時, 血糖コントロールのため入院した際に, 合併症を評価されたが, 30年を超える長期の罹病期間にもかかわらず細小血管障害が認められなかった. いわゆる「ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病 (以下ミトコンドリア糖尿病と略す)」では一般に細小血管障害の合併頻度が高いことが知られている. 本症例のように長期の罹病期間にもかかわらず細小血管障害を認めない症例があることを認識することは, 日常臨床においても, また細小血管障害の発症や進展のメカニズムを考える上でも貴重な症例と考えられ, 報告する.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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