糖尿病
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発症前からの自己抗体の変動をとらえた慢性C型肝炎インターフェロン治療中に1型糖尿病および甲状腺機能低下症を発症した1症例
岩倉 敏夫井本 あかね池田 香織孫 徹小林 宏正岡田 明彦石原 隆
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2004 年 47 巻 6 号 p. 459-464

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抄録

症例は52歳, 女性. 慢性C型肝炎に対しリバビリン・インターフェロン (IFN) 併用療法を行つた.当初, 耐糖能異常及び甲状腺機能異常を認めなかったが, 開始後19週より口渇および体重減少が出現し, 翌週糖尿病性ケトアシドーシスにて緊急入院となった. 入院時HbA1c7.696, ICA陽性, 抗GAD抗体235,000U/ml, 尿中CPR18.9μ/dayであり1型糖尿病と診断し, 強化インスリン療法を行った. また, 慢性甲状腺炎の増悪による原発性甲状腺機能低下症の併発も認め, 甲状腺ホルモンの補充療法を行った. 本症例はIFN治療前の抗GAD抗体140U/mlと陽性で, HLA遺伝子では1型糖尿病に疾患感受性のある八プロタイプが検出された. このような症例はIFN治療中に十分な経過観察が必要である. IFN治療の副作用として1型糖尿病を発症する可能性があることを啓蒙していく必要性があると思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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