糖尿病
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ピオグリタゾン投与後に尋常性乾癬の改善を認めた糖尿病の1例
坂口 一彦森田 秀樹黒田 祥二田中 心和西脇 佳世堀松 高博来住 稔竹田 章彦大西 裕小池 隆史藤澤 貴史前田 光雄
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2004 年 47 巻 7 号 p. 527-531

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抄録

尋常性乾癬は, 鱗屑を伴う紅斑として認められる難治性の炎症性皮膚角化症で, 高率に耐糖能異常を合併する, 尋常性乾癬を伴うインスリン依存状態の糖尿病患者を約3年間観察しえた. この間にHbA1cは10%程度から6.596まで, 4回変動したが, インスリンの増量やメトホルミンの追加で血糖値が改善したときには乾癬の改善は軽度にとどまったのに対し, ピオグリンタゾンを追加しHbA1cが改善したときにはpsoriasis area and severity index (PASI) が15.3から1, 7へと著明な改善を認めた. ピオグリタゾン投与前の血中TNF-α値は高値であったが治療により低下した. 尋常性乾癬の病態は未だ十分に明らかではないが, インスリン抵抗性を有する耐糖能異常者が多く, また種々の治療に抵抗することを考え合わせると, 新しい治療法につながりうる興味深い現象と考えられた

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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