日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌
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道案内の数理モデル ―経路決定を含む施設配置問題によるアプローチ―
八尾 優作田中 健一
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2020 年 63 巻 p. 18-37

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抄録

旅行などで初めて訪れる場所では,何らかの方法で目的地までの道のりに関する情報を得る必要がある.道案内には,案内板やアクセスマップのようにあらかじめ決定された経路を案内するものと,カーナビゲーションシステムや地図アプリケーションのように動的に経路を決定して案内するものがある.本稿では,前者の案内板や大規模イベント時の誘導員などによる情報提供場所を決定するための問題を提案し,この問題を案内板配置問題とよぶ.案内板配置問題は,各移動需要の起点と終点の間の経路はあらかじめ決定されておらず,施設配置問題であると同時に経路決定構造を含んだ問題である.経路案内は,交差点に配置された案内板が移動者に右左折等を指示することにより実行される.これを,仮想的なアークを追加した拡張ネットワークを導入し,経路決定を含んだ形での施設配置問題の定式化を実現した.本稿では,案内板配置問題について,集合カバー型および最大カバー型の問題における拡張ネットワークの作成方法および定式化を示し,東急東横線日吉駅西口の実際の道路網に適用する.許容される案内経路の迂回の程度や案内板の配置に使用可能な資金に応じて,移動需要の捕捉量が異なる様子を分析し,提案モデルの有効性を確認した.

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